矯正歯科について Orthodontics
矯正歯科とは
「口の中の健康」は、虫歯や歯周病を防いで治すことだけではありません。良好な咬み合わせと整った歯並びも、非常に大切なポイントです。矯正歯科治療は、見た目を良くするだけでなく、機能的な問題(咀嚼機能、顎の運動)を改善させるなど、歯自体の健康にも関わっています。
歯並びが乱れていたり、咬み合わせが悪い状態のままでは、噛み砕く力(咀嚼力)が落ちて消化器官に余計な負担がかかります。歯の隅々まで歯ブラシが届きにくいことから、虫歯や歯周病になりやすいリスクもあります。
また、ものを噛んだときの力のかかり方が不均等になるため、一部の歯だけに大きな負担がかかるケースも増加します。その結果、歯がもろくなり、虫歯や歯周病で歯をなくしてしまうこともあります。
歯の健康を長く維持して「80歳まで20本の歯を残す」ためにも、矯正歯科治療はとても重要なのです。
矯正歯科で改善される3つのポイント
歯列(歯並び)
矯正歯科治療は「歯並びをきれいにする」「歯の凸凹やすきっ歯を治す」といった、見た目だけを整えることが目的ではありません。上下の顎の骨と咬み合わせの状態、頭蓋骨と顔全体のバランスなど、総合的な症状の分析をして、一人ひとりの患者さんに合った治療を行ないます。
咬合(咬み合わせ)
咬み合わせが悪いと、食べ物を細かく噛むことができなかったり(咀嚼不良)、顎の発育に好ましくない影響を与えたりする場合があります。良い咬み合わせとは、上下の歯が正常に噛み合っているだけでなく、咬み合わせたときに、顎の関節の位置や動きが安定している状態を指します。
側貌(プロファイル)
側貌とは、横顔の見た目のことです。例えば、出っ歯(上顎前突)の場合の側貌では、口元が突出していたり、上下の前歯の間に下唇が入り込んでいることがあります。また、受け口の場合には、下唇が突き出ていたり、めくれて見えたりします。もともとの症状などによって個人差はありますが、矯正歯科治療で歯並びが改善されることで横顔のライン自体にも変化が起き、見た目のバランスが改善されます。
不正咬合のままでいると
不正咬合(良くない咬み合わせ)のまま放置していると、歯間に食べカスや歯垢が残りやすくなって、虫歯・歯周病のリスクが高くなります。咀嚼の力が一部の歯に偏ると、歯槽骨がダメージを受けることもあります。こうした状況が積み重なると、歯の寿命は短くなってしまいます。
また顎のバランスが崩れると、顎関節症や肩こり、頭痛、腰痛など全身に影響が及ぶこともあります。
ほかの疾患を誘発させず、歯と全身を健康に保つためにも、不正咬合は治療しましょう。
矯正歯科の注意点
矯正歯科治療を開始するときは、虫歯や歯周病の有無をチェックし、もしある場合には先にその治療から行ないます。
歯に矯正装置を取りつけるため、歯磨きがしづらくなるので、より丁寧に時間をかけてケアしましょう。
最初のうちは装置が当たって、しゃべりづらさや、違和感が出る場合がありますが、ほとんどの方が1週間程度で慣れてきます。
装置の破損を防ぐため、せんべいなどの硬い食べ物や、キャラメルのように粘着性の高い食品は控えてください。
治療期間と通院回数
治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、一般的に1年半~3年を要します。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~2年、永久歯がすべて生え揃った後に行なう第2期治療で1~2年半を要することがあります。一般的な通院回数は24~36回です。
- ・機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- ・最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
- ・治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生え揃っている場合は、一般的に1年半~3年を要します。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~2年、永久歯がすべて生え揃った後に行なう第2期治療で1~2年半を要することがあります。
- ・歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
- ・装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正歯科治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- ・治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メンテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
- ・歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
- ・ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ・ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
- ・治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
- ・治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- ・問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
- ・歯の形状の修正や、咬み合わせの微調整を行なうことがあります。
- ・矯正装置を誤飲する可能性があります。
- ・装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
- ・装置を外した後、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- ・装置を外した後、現在の咬み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
- ・顎の成長発育により、咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- ・治療後に親知らずが生えて、歯列に凹凸が生じる可能性があります。
- ・加齢や歯周病などにより歯を支える骨が痩せると、歯並びや咬み合わせが変化することがあります。その場合、再治療が必要になることがあります。
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